政府の市場介入は必要か
先月18日、アメリカのブッシュ大統領は、アメリカの国内総生産(GDP)の1%に相当する1400億ドルから1500億ドル(約15兆円)の景気対策を実施すると発表した。政府は市場経済にどこまで介入すべきなのか。そもそも介入すべきなのか。今回はアメリカの有名な経済人の意見を借りながら、政府と市場の関係について考えていきたい。
ブッシュ大統領はこの刺激策を提案するにあたり、アメリカ経済の景気が後退する危機に直面していることを認めた。その上で、財源を増税に頼ってはいけないと断じ、具体的には中小企業への税制優遇措置などによる新規雇用の創出や、所得税の減税措置などが実行される予定だ。
今更繰り返すまでもないだろうが、アメリカのサブプライムローン問題により、世界中で大きな損失が引き起こされた。特にその影響を大きく受けたのは、やは り発生国のアメリカであろう。これまにで様々な試算がなされており、被害の総額は分からないが、数兆円に上っていることは間違いない。
そこで上の救済案が浮上した。これに対し、様々な賛否の意見が唱えられている。まず賛成派の意見として、ソロス・ファンド・マネージメントの会長で機関投資家のGeorge Sorosの言葉を取り上げてみよう。彼は、市場に対する政府のモニタリングと介入はもっと必要であるとした上で、次のように話している。
「市場原理により市場は自動的に統制されるという考えを我々は改めなければならない。市場にはリスクがある。そしてそのリスクをコントロールするのは国家の役目であるのだ。」
これに対し、前に「世界で2番目の金持ち」で取り上げた、同じく機関投資家のWarren Buffetは、George Sorosと全く異なる意見を述べた。
「彼ら(銀行)はそれ(サブプライムの焦げ付き問題)に対応できるし、解決していかなければならない。これらの損失を誰かが負担しなくてはならない。それを銀行が負担をするのか、それとも政府が、つまりは国民全体が負担するのか。わたしは前者だと考える。」
私個人的には どちらかと言えばバフェット氏 の意見に賛成である。まず政府の介入はバブル崩壊後の不景気を引き伸ばす可能性がある。また、もしいざとなったら政府が救済措置をしてくれるという意見を 銀行や投資家が持つようになれば、彼らは後先の結果を考えずにハイリスクな商品にどんどん投資することができてしまう。「ノーリスク・ハイリターン」とい う夢のような状態だ。さらに、いくら政府が介入したところで全てのリスクを取り除くことはまず不可能である。それくらい市場というものは巨大な生き物に なっているのだ。だからこそ、市場に任せるほうが得策であろう。アメリカは既に貿易による巨額の赤字を抱え、さらに石油の高騰などにより経済が低迷し始め ている。そんな中、さらに国民に負担を強いるというのはナンセンスだと言わざるを得ない。